浄土宗神奈川教区テレホン法話 第929話

鎌倉組 野中和道

 前回「ありがとう」感謝の言薬をお話ししましたが、「ありがとう」についても少しふれたいと思います。
 人として、社会生活を営む以上、色々な困難に出くわします。生、老、病は、人として一番さける事が出来ない事です。一人では出来ない場合、他人、家族、友人に相談して活路を見いだし、何とか解決していきます。人はまさに共同体の個です。
 人の字を分解すると、お互いによりそっている形、形象文字になります。まさに助けあって生きている人なのです。
 生、老、病の対処方法に自分に解決出来なくて、他人がしてくれた事に対する言葉は「ありがとう」と言う言葉が一番良い言葉であります。その行為大きい小さいにかかわらず、いいたい言葉は、家族の協力にも「ありがとう」と言えば、今までのわだかまりがあったとしても、親子の対立、兄弟のわだかまりも、直に解決してしまう。言われた他人は言うに及ばず、言った自分も良い気分になるものです。
 私はどんなに親しく、気の置けない友であっても、この「ありがとう」を言う事にしている。少し気恥ずかしい面もあります。ですが言った後の充実感は、とても良い気分になります。また「親しき仲にも礼儀あり」ではありませんが、親友であろうと、自分に対してくれた事に対して恥しがらずに「ありがとう」と言うものである。この言葉は漢字で書くと「有り難い」と言う言葉になります。「難かしい事がありました」「お陰様で解決しました」この解決に対する対価としての言葉なのであります。だかちこそ、人の心に響く。どんなにささいな事でも「ありがとう」と言いましょう。そうすれば、感情も自然と穏やかになり、争いの入る余地は無いのです。
 ただ「ありがとう」この五文字を自然に発音すれば良いのです。