浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1172話

港北組心行寺 安田 雄人

 暑い日が続いております。7月には多くの記念日があるそうですが、みなさまご存じでしょうか。例えば、7月22日は「下駄の日」。これは、下駄の寸法が昔の尺度でいう7寸であり、下駄の歯が漢字の「二」に見えることから1991年に制定されたそうです。また、7月27日は「スイカの日」。スイカの縦縞模様を「綱」に見立てて、数字の27を語呂合わせで「ツナ」と読んだことに由来するそうです。
 さて、7月の第3月曜日は「海の日」です。もともとは7月20日だったのですが、連休を増やすためにそのような日程になっているようです。「海の日」を国民の祝日にしているのは世界でも唯一日本だけで、「海の恩恵に感謝し海洋国日本の繁栄を願う日」として定められています。
 このように我々日本人は「海」に対して、特別の念を抱いてまいりました。浄土宗の宗祖法然上人も、お念仏の教えを海に例えてこうお話しされています。
「お念仏以外の修行は一般の人には行い難く、例えていうなら険しい山道を歩いていくようなものである。しかし、お念仏の修行は簡単で例えて言うなら海路を船で運んでもらうようなものである。であるから、私たちは阿弥陀仏の本願の船に乗って、この生き死にを繰り返す苦しみの世界を渡り、極楽浄土という安らぎの岸にたどり着くほかない」
私たちは日頃、仕事や家事、育児などに追われてとても忙しい毎日を送っています。このような生活の中では、心を落ち着けて自ら悟りを開こうと思っても、なかなか難しいものです。しかし、そのような忙しい生活の中でも、心の乱れたままであっても、救われる方法はあります。それは、あるがままの姿で結構です、お念仏をお唱えして、阿弥陀様の救いの船が迎えに来てくれるのを待つことです。どうぞ、みなさま一日少しで結構です、「なむあみだぶつ」と口に出して、お念仏をお唱えしてみてはいかがでしょうか。
 次回は8月の始めにお話が変わります。