浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1171話

港北組心行寺 安田 雄人

暑い日が続いております。7月はお盆の月です。お盆は正式には盂蘭盆会と言われ、毎年7月13日から15日、あるいは地域によっては8月の13日から15日にかけて、先祖のみ霊を祭り、その冥福を祈る行事です。
 その由来について『盂蘭盆経』というお経にこう書かれています。お釈迦さまのお弟子の一人で『神通第一』といわれた目蓮尊者が、ある日、亡くなった自分の母親がどう過ごしているのか、神通力で見てみることにしました。すると、なんと母親は餓鬼の世界に落ちて、苦しみにあえいでいました。目蓮尊者は神通力を使って、母親に食べ物や飲み物を与えようとしましたが、母親が口に入れようとすると次々と炎に変わってしまい、どうしても食べることができません。
 悩んだ目蓮尊者はお釈迦様にどうすればよいか相談しました。するとお釈迦さまはこう諭されました。今、90日間の雨季の修行をしている僧侶たちが、7月15日に修行が明けるから、その者達にごちそうをして供養すれば、お母様を餓鬼の苦しみから救うことができるでしょう。
そして、同じように7月15日にいろいろな食べ物や飲み物を、盆に盛って過去の先祖から父母までを供養しなさい。そうすれば、その功徳によって多くの魂が苦しみから救われ、いま生きている人もさらなる幸福が得られるでしょう。
これが、お盆の行事の始まりと言われています。私たちは、多くのご先祖さまのおかげさまでありがたく生かされています。その長年のご恩に報いる日がお盆なのです。
普段仕事や家事に追われて忙しい人も、お盆の時はゆっくり休んでお墓参りをしてみてはいかがでしょうか。
 次回は7月の中ごろにお話が変わります。