浄土宗神奈川教区テレホン法話 第995話

鎌倉組 覚栄寺 影山 秋涛

 大変過ごしやすい陽気になってまいりました。小鳥のさえずる声も楽しそうです。
今月の、春分の日の前後三日間、この一週間は、皆さんもよくご存知かとは思いますが、お彼岸でございます。
彼岸とは、向こう岸のことで悟りの世界、浄土の世界という意味です。それに対して、「此岸」とは私たちの住んでいる、迷いと煩悩にさいなまれている世界のことですね。この時期は、是非とも今一度、仏教の教えを実践して頂きたいと思います。
その彼岸の、第一日目を「彼岸の入り」、真ん中の日を「中日」、終わりの日を「結日」と呼ぶわけでございますが、
特に中日は、春分の日で休日でありますから、ご家族の皆さんでお墓参りをするには良い日ではないか、と思うわけでございます。
春分の日は、昼夜の長さが同じとされており、「暑さ寒さも彼岸まで」 ということわざ通り、暑くもなく寒くもない良い季節であり、太陽が真西に沈むのも、ちょうどこの頃にあたるわけです。
真西と言いますと、阿弥陀様のいらっしゃる西方極楽浄土の方角でございまして、西方極楽浄土に生まれたご先祖様を想い浮かべ偲ぶには、非常に適した時期ともなっております。
毎日の生活の中では、決して楽しく幸せなことばかりが起こるわけではございません。時には、辛く悲しい気持ちになることもあるでしょう。
今生きていられるのは、ご先祖様や、先に西方極楽浄土に行かれた方々のお陰様と、感謝の心をもって、お参りに出掛けて頂きたいものです。つまりは、自分が今あることを感謝する大切な行事であるということが言えます。
普段から仕事や家事、学業や育児、その他もろもろの理由から、
忙しく、なかなかご先祖様に手を合わせられない、そういった方々も沢山いるとは思いますが、是非とも、このお彼岸を一つの機会として、ご先祖様への感謝の気持ちを持って、ご供養して頂けたらと思う次第でございます。

次回は3月21日にお話がかわります。