浄土宗神奈川教区テレホン法話 第994話

鎌倉組 覚栄寺 影山 秋涛

  3月を迎え、徐々に暖かくなっていくのを実感しております。
3月と言いますと、季語におきましても、早春の候、春寒の候、
軽暖の候、などなどいろいろな言葉が用いられ、冬のわずかな余韻を残しつつも、暖かな春に向かっていく様子が見て取れますね。
また啓蟄という言葉からも、冬眠していた虫が起きだす、柔らかな季節の到来を感じさせます。
この季節になりますと、学生の皆さんは卒業や入学・進級などがありますし、社会人の方々にとりましても年度末・新年度といった区切りを迎える時期ともなりましょう。中には、引越しして住居の移り変わる方もいらっしゃるかもしれませんね。
皆様におかれましては、なにかと忙しく、それでいて新しい生活の始まりに胸踊るような、そんな毎日をお過ごしになるのではと感じております。
しかし新しい生活と言うのは、共に不安を抱えてしまうことも多々あるようでございます。希望に胸を膨らませながらも、人間関係や新しい環境での生活など、心配に感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ではその不安を鎮めるためにはどうすればいいのでしょう。
私はやはり、お念仏をお称えすることが一番だと思っております。
ご仏壇に向かわずとも、どこでもかまいません。合掌して、“南無阿弥陀仏”とお称えしてみてください。
十回・・・二十回・・・心の静まっていくのをお感じになられることと存じます。
お念仏は仏事の時だけ、お寺に行った時だけ、仏壇の前だけというものでは、もちろんありません。
“南無阿弥陀仏といふは、別したる事には思べからず”
と、法然上人がおっしゃっておられます。
いついかなる時においても、決して特別なものではなく、皆さんのすぐそばにあるとお感じ下さい。
 そして、新鮮で前向きな気持ちを持って、また今日からの日々を過ごしていこうではありませんか。

次回は3月11日にお話がかわります。