浄土宗神奈川教区テレホン法話 第837話

 秋もだいぶ深まってまいりまして、木々の葉が綺麗に染まり、私達の目をたのしませてくれます。
  嵐吹く 三室の山の 紅葉葉は
  竜田の川の 錦なりけり
 皆様、どこかに秋を見つけにいかれましたでしょうか。
 私は幸い自分のお寺の庭で秋を感じることが出来ます。先代が庭に植えた沢山の紅葉が、毎年この時季になりますと、夕日が差込むことで光り輝き、それに照らされた庭の中が朱一色に染まるのです。毎年それをみていると、とても心が落ち着き暖かくなる感じがし、亡くなった祖父母もふとすると今にも私の前に現れて、元気にやっているか、と、声をかけてくれるような、そんな不思議で懐かしい感じが致します。
 今詠みましたお歌の中でも嵐が吹き、紅葉が竜田川に散り流れ、それがとても綺麗だと、ありますが、今年は例年に無く台風の被害がひどかったようです。かの有名な宮島の厳島神社でも相当な被害にあったと聞きます。その厳島神社には、普段からでも、海水やら潮風で腐食しやすいのに、八百年近くも昔と変わらない姿を保ってきております。それは常に寄せてくる海の藻の清掃や、砂の地ならしなどをして、対策を練っていたからだそうです。
 当然、それは私たちにも言えることで、確かに普段から自分の身は自分で守らねばなりません。しかし人間の力というのは限りがあり、大自然の前では本当にちっぽけで無力なものです。
 では、こんな無力な私達は何を支えに生きていけばよいのか。それは阿弥陀様でございます。阿弥陀様は常々私たちをお見守りくださっております。人間、いつ、どこで、どんな形で自然の脅威にあうかわかりませんが、お念仏を支えとし、常に阿弥陀様と一緒という心が、安心感をおこさせるのです。今は亡き大切な方もお声をかけてくれましょう。日頃からお念仏をおとなえし、日々の生活に励みたいものです。

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