浄土宗神奈川教区テレホン法話 第788話

 前回は、青色に輝く物を無理に赤くするのではなく、青い色が一層輝くようにする、仏様から授かった個性なのだから、個性を伸ばす事が大切ではないかと個性のお話をさせて頂きました。
 私のお寺には幼稚園があり、普段から子どもたちと関わることが多いのですが、こんな話があります。
 質問です、「雪が溶けたら何になると思いますか?」これは幼稚園の4歳・5歳の子どもでもわかります。きっと皆様もおわかりでしよう。そう、水になるのです。ところが、意に反して違う答えを出した子がいました。「先生!雪が溶けたら春になるんでしよ!」何とも子どもらしい答えだなと思われる方もいらっしやいますでしょうし、もしこれが試験であったとしたらおそらくは×を付けられてしまうのではないでしょうか。
 もう一つ面白い話があります。「4つのリンゴを3人で分けたら一人分はどのくらいになるでしょうか?」今度は少し難しいですが、一人分はリンゴ一つと残りを3つに分ける、が答えですが、先程の話を聞いていると、きっと違う答えが出てくるのではないでしょうか?
 子どもから出た答えは、一人一つ、残りの一つは仏様にお供えをする、でした。幼稚園で何かを食べるときに、必ず同じ物を仏様にお供えしていたから出た答えかもしれませんが、世間では、こういう話が通らない世の中になってきているのではないでしょうか。
 お釈迦様は中の道と書く「中道」を悟られました。「過ぎたるは及ばざるがごとし」と言うように、程々がよい、両極端でない方がよいことが多くあります。世の中○と×ばかりでは、先程のお話のような答えは出てこないのではないでしようか。
 以前、落語家の春風亭小朝さんが百歳を超えた方とお話をする番組がありましたが、あるお年寄りに小朝さんが長生きの秘訣をお聞きしたら、「反省すれども後悔せず、頭に柔軟性がないとダメですね」と答えが返ってきました。老若男女を問わず、心豊かに生きる方法が見えた気がしました。

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