浄土宗神奈川教区テレホン法話 第763話

 秋の気配がいよいよ濃くなってまいりましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。
 さて、十月となってまいりますと浄土宗の寺院では十夜という行事を行います。お十夜は「この世において善いおこないをすること、十日十夜なれば、他方諸仏の国土において善いおこないをすることを千歳するに勝れたり」と無量寿経というお経に説かれていることに由来します。大本山光明寺の第九世観誉祐崇上人が天皇の勅許を受けて、鎌倉大本山光明寺で始めました。それから約500年の間続けられてまいりました。ここで「善いおこないをする」ということは「お念仏をお称えする」という意味なのです。この世において十日十夜にわたってお念仏を修することは、仏さまのおられるお浄土に生まれてから、一千年もの間、お念仏を修するよりも、ずっと勝れているというのです。
 お浄土は善いことばかりの世界ですから善いことをするのは当たり前の世界です。しかし、私たちのこの世の中は、善いことが少なく、悪いことばかりが目立つ世の中です。つまり悪いことはしやすいですが、善いことはしにくい世の中と思われます。この世の中で、善いこと、つまりお念仏を十日十夜することが出来れば、しあわせなこと、ありがたいことだとお思いませんか、十日十夜が無理であれば一日でも、一時間でも、一分でも、お念仏をおとなえすることが大事ではないのでしょうか。私たちのこの世の中での生活は、暗やみの中で手探りで、しあわせをさがしているようなものです。もし、暗やみに明るい光がさしこめば、つまりお念仏によって仏様の光がさしこめば、愚かであった自分に気づき、毎日の生活が有意義にすごすことが出来るのではないのでしょうか。このお十夜をいい機会にお念仏をお称えする生活をしていきたいものです。

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