浄土宗神奈川教区テレホン法話 第762話

 9月に入り、だいぶ過ごし易い季節になってまいりました。今月は春と秋、年に二度訪れるお彼岸の季節です。
 お彼岸とは、迷いの世界から悟りの世界へ渡る為の仏様のみ教えです。ではどのようにすれば、迷いの世界から悟りの世界ヘ渡る事ができるのでしょうか?
 その方法として、六波羅密という六種類の修行があります。その六種類とは、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧、この六つです 布施は他人に施す事。持戒は自らの戒めを守る事。忍辱は耐える事。精進は努力する事。禅定は心を落ち着かせる事。智慧は正しい考え方をする事。
 これら六つの修行は、どれも自分の力で成し遂げなければなりません。ですが、迷いに満ちたこの世界で生きる我々には、とうてい成し遂げる事の難しい修行といっても過言ではありません。
 浄士宗をお開きになった法然上人でさえ、これら六つの修行を自分の力だけで成し遂げ、迷いのない悟りの世界、すなわち極楽浄土に渡るのは非常に難しいと判断されました。
 そこで我々凡人でも極楽浄土に渡る事ができる方法として、南無阿弥陀仏と唱える事で阿弥陀様のお力をお借りして、極楽浄士ヘ渡る事ができるとお説きになったのです。
 法然上人がお説きになったこのみ教えは、自分だけでは極楽浄土には行けない。我々はそのような器ではないのだと自覚し、阿弥陀様のお力をお借りしなさい、というものなのです。そんな無力な私達でも阿弥陀様は見捨てる事なく、南無阿弥陀仏と唱えるだけで、悟りの世界すなわち西方極楽浄土ヘ導いて下さるのです。まさに南無阿弥陀仏と唱えるだけで。何も難しい事はありません。厳しい修行を成し逐げる事のできない私達は、南無阿弥陀仏と唱え、阿弥陀様にこの身をゆだねるしかないのです。

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