浄土宗神奈川教区テレホン法話 第754話

 念には念を入れると良く聞く言葉ですがそれについて考えてみたいと思います。念はおもろとか忘れないとかとなえるという意味があるそうです。念を入れると言う事は心をこめるという意味になります。心の方向を一点に集中して注意カを高めるという事です。念仏とは心をこめて仏を敬う事です。だいぶ前の事ですがある農協さんで話をする機会がありました。たしか郷土の歴史についての事だったと思います。約90分1時間半位の話っしだったのですが余りそういう機会のない私でしたからいろいると調べ何日もかかって原稿を作りました。作っていて楽しいものでしたから何回か書きなおしている内に自分でも感心するくらいの原稿が出来たと思いました。その夜は安心してぐっすり眠り翌日約束の時間より早めに会場へ行きました。5分前となり会場に案内され紹介されますと大きな拍手です私はドキドキして果たしてうまく話す事が出来るだろうかと不安でした。ではこれより郷土の歴史についてお話しをさせていただきますと言いながら紙袋から原稿を出そろと思いました。ないのです入っているはずの原稿がないのです。一瞬なぜ!!どうしたら良いか頭がまっ白けになってしまいました。家に電話してとも考えましたが今となってはどうすることも出来ませんどうしよう、どうしよう、しかし待っている人々を前にっしては話し始めるしかあリません。その時頭にひらめいたのは以前何かの本で読んだ、話しをする時はどんなに頭に入っていても手ぶらではダメだ関係のないものでも良いから何冊かの本を持っていくと自分も安心するし聞く方も信頼するものだという事を思い出し、丁度紙袋に入っていた丸で関係のないノートを取り出して机に置き話をはじめました。そうしたら何んと前日に作った原稿通りに記憶がよみがえるではありませんか。記憶力の悪い私としては不思議としかいいようがありません。そして何んとか90分の時間中ほぼ原稿通りに話が出来たのです。しかしなぜあんなにすらすら出た来たのでしょうか、考えて見ますと自分の好きなことであったこと、そして何回も書きなおしながら作った原稿だけにそれで充分に頭に入っったのでしょう。だから最初の出だしを話しはじめたらあとは次ぎ次ぎと出て来たと思いました。もう二度となでしょうが、おかげさまで、念には念を入れた準備のたまものであったと、御本尊様に感謝いたしました。

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