浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1123話

今月の法話は三世についてお話し致します。三世とは過去世・現世・未来世の事で、今生を起点とした過去と未来への繋がりであり、欲界に属する地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の六道に渡る生死輪廻を指します。永劫に重ねた一つ一つの過去世の我身を知り得ることは出来ません、唯の一度も前世の記憶を持ちえない私達だからこそ、未だ生死の苦海から抜け出せず、この世の幸福と曖昧な希望だけを来世へ求めてしまうのです、今生の我身だけに囚われて、出離の想いが生まれなければ、往き先の選べぬ次の苦海へと流されてしまうのが生死輪廻の道理です、されど人の世に出世して、覚りを開き後世の人をもすくわんとしたお釈迦様の大慈悲のお導き在る現世に生を受け、初めて生死の理を知り、この命も未だ生死繰り返す輪廻の里より唯の一度も抜け出た事の無い命なのだと心に留まるから、今生でこそ抜け出したいとの思いが初めてこの命に生まれるのです、仏の真実義に導かれ、私の命の往き先を固く心に定める為には、累々と続く過去世の我が身を強く感ずることは非常に大切なことなのです。

次回は10月11日にお話が変わります。