浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1038話


中郡組 大運寺 石垣 一彦
 六道輪廻の世界をめぐり続けている私たちは今、尊いご縁によってこうして人間の世界に生れさせていただいていると受け取らせていただくのが仏教の教えであります。六道の世界を生まれ変わり死に変わりしている私たちは、死して生が変わるごとに過去の事を忘れてしまうのです。地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上の六つの世界を生まれ変わり死に変わりしている中で、身と口と意(こころ)とで罪を造り、その罪をも忘れてしまっているのです。生が変わるたびに、その罪は無くなるわけではありません。その報いを避けることはできません。私たちの目には見えないけれども、仏さまにはその罪深いところは丸見えであります。だから仏さまはそのことに気づけよ、気づけよとおっしゃってくださっているのです。私たちは罪を造りながらしか生きることのできないものであると、自分自身の業を知り自分の機を深く信じることが大切であります。人間として生まれて来たのだからこそ今、仏さまの教えを知ることができるのです。人間として生まれてきたからこそ、法然上人がお示しくださったお念仏を称えることができるのです。お念仏を称えて、今生を限りに西方極楽浄土に往生して立派な仏にしていただけるのです。なんとすばらしい有難いことではないですか。何もせずにこのまま行ったらまた、三悪道に戻っていくことが仏さまにはみてとれるのです。それではあまりにも哀れであると、仏さまが自らが選ばれ本願とされたお念仏を用意していただいているのです。どうぞ皆様もそのことを心にとどめていただきたいと思います。日々の暮らしの中でどんな縁によってどんなことが起こるかわかりません。どこまで行っても壊れいく世界であります。だからこそ自身の業を見つめ、自分の機を深く信じ、仏さまが選び決めおかれたお念仏を法然上人がお示しくださったお念仏をお称えして共に西方極楽浄土に参らせていただきたく思います。