浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1025話

中郡組 西福寺 宮澤 正順

 我昔所造諸悪業 皆由無始貪瞋痴・・・というお経のことばは仏教徒であれば誰でもご存知のサンゲのことばです。懺悔とは反省するお詫びするということで、世間ではザンゲと云いますが仏教者はサンゲといいます。このお経文では、我々が悪を犯す原因として三つの要素を挙げています。第一の要素は、貪・むさぼりです。貪欲のどんという字ですがお経文ではトンと読みます。貪という字は今という字の下に海にいる貝という字を書きます。貝という文字はお金と同じ価値があるものです。財務省の財も財布の財も皆貝という字がついていますから、お金に関することから発展して欲ばりむさぼりとなります。第二の要素は瞋です。目という字の右に真理の真という字を書きます。真というのはウソの反対です。ウソは内容がないからっぽのことです。その反対は中にいっぱいものがつまっていることです。目にものがいっぱいいつまっていることです。目にものがいっぱいつまっていると目の玉がギョロッとむき出しになります。つまり怒っている人の目、カッと目を開き、目の玉をむきだしている姿です。その目には何が一杯つまっているのでしょうか。いうまでもなく相手に対するいかり・にくしみの感情が一杯つまっているのです。第三の要素は痴です。間違った知恵・狂った知恵・病気の知恵です。はじめに書くのはやまいだれといいます。病気の病とか痛いとかいう字についていますからやまいだれといいます。この中に知識の知が入っているから病気になっている正常ではない知恵ということになります。昔はやまいだれに疑問の疑の字を書きましたが内容は大体同じです。この三つの要素はすべて我々の心にありますから、時として暴走して色々な過ちを犯す原因になりますので、三つの毒三毒とも呼びます。朝に夕にこの三毒があばれないように注意しなさいというのがサンゲのお経文の意味です。次回は一月二十一日にお話がかわります。