浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1004話

小田原組 報身寺 荒井 呉仁

昨年のガソリン価格の高騰に急激な下落、100年に1度と言われる世界同時不況により急激に企業の業績が悪化しております。半年でさえも先を読むことは難しくなっております。数年前までその変化の速さを例えて、ドックイヤーと言っておりました。人間の寿命を基準に換算すると人間が1歳年をとるのに対し犬は7歳になるということですが、最近では1年で14歳になるねずみにたとえ、マウスイヤーとも言われております。
 そのような急激な流れの中で忙しく、不安な毎日を送られている方も多いのではないでしょうか。このような先の見えない状況をいかに歩めばよいか、ここに信仰の意義があると思うのです。信仰するものをもつことにより心の拠り所が生まれ、喧噪のなかにあっても安らぎの場を得ることが出来るのです。信仰の形は宗派によって様々ですが、法然上人がお開きになられた、浄土宗では難しい教えを問うこともなく、また、苦行を課すわけでもなく、ただ一心に南無阿弥陀仏と声に出してお唱えすればよいのです。
南無とは帰依するという意味の梵語をそのまま漢字にあてはめたもので、阿弥陀様に全ておまかせいたしますということです。それを声に出して何回も唱えるということは阿弥陀様に繰り返しお願いし、お誓いして行くと同時に自分自身にも繰り返し言い聞かせているのです。
 普段はお念仏をお唱えることがない人にとって南無阿弥陀仏という6文字でさえも声にだしてお唱えすることは難しいのかもしれません。そのような方々も育ててくださったご両親、ご先祖様、またお世話になった方々に感謝する時があるでしょう。できれば一日の始まりである朝に手を合わせ、今までの感謝、そして一日の安全を願い合わせて南無阿弥陀仏とお唱えいただきたいのです。時間は許す限りでかまいません。それを習慣にしていただくことで阿弥陀様に守られている安らぎ感じ、一日一日が明るく穏やかな気持ちで過ごせるのであります。
 次回は6月21日にお話がかわります。