浄土宗神奈川教区テレホン法話 第952話

港南組 薬王寺 石川仁恵 あけましておめでとうございます。本年最初のテレホン法話です。平成20年、新年を迎えることになりました。新年になって、楽しいお正月をお過ごしの方も多くいらっしゃることでしょう。或いは、昨年中に、ご家族・親しい方に先立たれ、寂しい思いの内に新年を迎えられた方もいらっしゃるでしょう。そして、喪に服されている方はお正月の祝い事を控え、身を慎んでおられることと思います。 人間はそれぞれ顔も違うし、身長も体重も違います。同じ様に好みや考え方も複雑に違います。10人いれば10通り、100人いれば100通りの人間がいます。人間は生まれながらにして環境の違った家庭や地域で育てられます。そして、100人100様の人間が同じ地域で暮らし社会を形成しています。色々な面で強者と弱者が出来上がってしまいます。成長するとともに競争社会の構成する人の一部になってしまいます。そして、争いに巻き込まれ、秩序がなく、無法社会ができてしまいます。弱者は社会の片隅でひっそりと生きていかなければならなくなってしまいます。 人間の聡明な知恵は、この辛い社会を浄化するために行政という文化を生み出ししました。しかし、進歩と後退を繰り返して、未だに辛い社会を脱することができないでいます。 人間はこの世に生を受けると同時に誰も逃れることのできない四苦(生老病死)を背負っています。この辛い地獄のような社会を生きていかざるをえないのです。 お釈迦様はこの現実をふまえて、この世に極楽の実現が不可能に近いことを悟り、来世にそれを求めました。法然上人は極楽往生の道を極められました。その根本理念は「南無阿弥陀仏」とお唱えすることです。念仏によって不平なく、おそれなく、心静かに毎日をすごせれば、と思います。