浄土宗神奈川教区テレホン法話 第853話

 ようやく春らしく暖かくなってまいりました。思わず身体を動かし外へ出かけたくなります。
 最近はウォーキングも盛んで、元気なお年寄りをよく見かけます。と同時に、ここ数年、「ピンピンコロリ」という言葉をよく耳にするようになりました。
 ご存知の方も多かろうと思います。高齢となっても元気で病気もせずにピンピンと健康で、死ぬ時は人に迷惑もかけずにコロリといきましょうという運動であり合言葉だそうです。
 確かに今現代にとりましては、これこそ魅力的な生き方であり死に方なのかもしれません。健康であれば有難いことですし、苦しまずに死ねるなら本望というところでしょう。
 しかし、先日ある葬儀の席でお母様を亡くされた方がお話されていたのですが、コロリといかれたらたまりませんと泣かれていました。
 本当に元気であったのに、いきなり病が見つかり十日で亡くなられたのです。準備も覚悟もなく、残された自分たちは、いきなりコロリとこられてつらいですと。健康で元気である事にこしたことはありません。しかし、それ故に死をよそにおき、仏様の声に耳を貸さないとなったら不幸なことです。たとえ病気であっても仏様の声をいただいておれば、真に生きる力がわいてくるのです。
 その方には、コロリといかれても、お母様は念仏をお称えしていた方、いずれお浄土での再会がかないますよとお伝えしました。
 今月八日はお釈迦様がお生まれになられた日。
 人間、死んでいかねばならない身を、慈悲の心から手をさしのべ念仏称えなさい、阿弥陀様にすがりなさいと勧めて下さった仏様です。
 ピンピンコロリもいいですが、お念仏をこそ杖とし支えとして過ごし、それこそ理想の生き方といただいて参りましょう。

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