浄土宗神奈川教区テレホン法話 第796話

 長い梅雨が終わり、残暑の夏も過ぎると、もうすぐ秋の彼岸になります。
 彼岸には、御先祖や縁者の方のためにお墓参りに行くというのが、一般的ではないでしょうか。この彼岸という行事は、どこからきているのでしょうか。彼岸とは彼方の岸と書かれるように、極楽浄土のことをいいます。その極楽浄土に行くための修行の期間が、彼岸です。 彼岸とは、浄土三部経の観無量寿経の中に書かれている極楽浄土を観る為の方法、日想観からきています。さて、この日想観には、太陽の西に沈む姿を想い観ることが、説かれています。日本では、春分、秋分の日に、太陽が真東から昇って真西に沈むので、この日を中日として前後3日の1週間を彼岸と呼んで、仏道修行の期間としています。
 これは、真直ぐ西の彼方、十万億の世界を越えた所に極楽があるといわれているからです。常日頃、日常生活に追われてなかなか太陽が沈むところを見ていない人々でも、その雄大な姿をじっと眺めていると、大自然の神秘にうたれるでしょう。そして、今まで忘れていた心の静けさや、安らがさを感じられることでしょう。西の空というのは、人生のあらゆるものの落ちつく場所です。すべては、そこに帰りつくところの西方という方角が、我々に彼岸の浄土というものの在り方を示しています。 太陽が西に沈む時は、実に大きく感じられると思いますが、いかがでしょうか。その大きさが太陽の本当の大きさです。昼間はその光か強いために、小さく見えているのです。西に沈む時に太陽も、本当の姿を表わします。我々もその沈む太陽を見て、本当の心を見つけ出すように努力していきたいものです。
 自分の家のお墓やお仏壇がないから、手を合わせてお念仏を唱えられないと思っていた方々も、西に太陽が沈む時、そこに向って手 太陽が西に沈む時は、実に大きく感じられると思いますが、いかがでしょうか。その大きさが太陽の本当の大きさです。昼間はその光か強いために、小さく見えているのです。西に沈む時に太陽も、本当の姿を表わします。我々もその沈む太陽を見て、本当の心を見つけ出すように努力していきたいものです。
 自分の家のお墓やお仏壇がないから、手を合わせてお念仏を唱えられないと思っていた方々も、西に太陽が沈む時、そこに向って手を合わせて下さい。これも仏道修行の1つです。彼岸の期間にとらわれず、気がついた時に右手と左手ち合わせてお念仏をいたしましょう。きっと西方極楽浄土にいらっしゃる御先祖様たちも、お喜びになることでしょう。

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