浄土宗神奈川教区テレホン法話 第794話

 幼き頃、祖母が、お盆には魚をとったりトンボをとったりすると、地獄の釜のふたがあいているので、「地獄へ落ちるんだヨ!」と云われた。
 「ご先祖がトンボやチョウチョになって帰ってくるのだヨ」と聞かされた。何かその時は、胸に妙な感覚で、昆虫の小さな生命をいとおしく感じた。そんなことも成長とともに、薄れていった。
 ある新聞の投書に「ちょうど盆である15日に戦友の飢えに苦しんで、亡くなったことを思い、終戦記念日の8月15日には、一日魚や肉などを食べないで精進ですますことにしている」と書かれていた。これもなかなか出来ないことでありますが、今日、悲惨な事件が絶えない社会で、お盆の一日ぐらいは子供のいる家庭では「殺生をしない、虫籠の昆虫は放してあげる」ぐらいの思いやりが欲しいものです。
 お盆の夜遅く、精霊さまを送るといって、近所の川へお供え物の食べ物を捨てに行った習慣も、今日では川の汚染、公害につながるので出来ませんが、その頃は飢えに苦しむ魚たち、あるいは捨て犬捨て猫などの餓鬼畜生に、ご先祖のおすそ分けをしてあげたのではないかと思うと、施餓鬼供養の布施行であったのかなと思われます。こんなことも、時代とともに移り変わり、ゆっくりと盆を味わうことが出来なくなり、帰省の列車や車の大混雑、又事故や水難の知らせに、一族苦しみのお盆かもしれませんが、ご先祖を祭り、供養の心を広く有縁無縁に及ぼし、動物、昆虫にまで、憐れみの心を施していくという美しい風習を、是非とも。私達の子孫に伝えたいものです。

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