浄土宗神奈川教区テレホン法話 第771話

除夜
 今年も残りわずかとなりました。本当に一年があっという間に過ぎてしまうような気がいたします。皆様も新年を迦えるにあたって身の回りの整理整頓犬掃除等であわただしい事ではないでしょうか。
 皆様もご存知の通り、鐘楼堂の有る各寺院では、大晦日に除夜の鐘をつきますが百八つの鐘をたたき私達の煩悩を断ち菩提の道理を知り、清らかな心になって新しい年を迦えます。
 私達人間の迷いの種は、眼(め)、耳(みみ)、鼻(はな)、口(くち)、体(からだ)、心(こころ)、また、過去、現在、未来にも何処にでもあり数え切れませんが、まとめて言えぱ百八あると言われます。私達の眼、耳、心、が色(かたち)や声(おと)や物にふれて起こした煩悩といものは、百八ではおさまり切れませんがそれら全てを反省し一年間に知らず知らずの内に作った自分の罪を懺悔して、仏さまに来年も清浄でありますようにと祈念する事に本来の除夜の意味が有ります。
 近年除夜の法要というとにぎやかな光景ぱかりが思い浮かびますが、除夜は真っ暗な夜中にしみじみと行われる法要で、暗闇の中にわずかにともされたお灯明によって浮かび出る阿弥陀様の前で一年を懺悔して、清らかな気持ちでお念仏をお称えし新年を迎える事が大事ではないのでしょうか。
 どうか今年の除夜の鐘は、ゆっくりしみじみと聞いて頂き阿弥陀様のおかげを信じて一日一日を大切に過ごしお念仏の中に新年を迎えて頂きたく存じます。

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