浄土宗神奈川教区テレホン法話 第769話

 いよいよ師走を迎え、今年も残り少なっくなりました。私の自坊でも、来年元日に行う修正会の支度、落葉の清掃等に追われております。この時期仏教行事も多く、仏様のお名前を称え一年の懺悔をする仏名会、ご本尊の埃りを払い自分の身を浄めるお身拭い式、また京都の総本山知恩院と東京芝の大本山増上寺に於いてはお坊さんになる為の最終的な修行道場が行いれる時期であります。また仏教において忘れてはならないお勤めに、12月8日の成道会があります。
 成道とは、道を成すと書きましてお釈迦様がお悟りを開かれたことをいい、まさにその日から仏教が始まったのであります。
 今、現実には身近な所から国同士に至るまで争いの絶えない世の中であります。このような混乱する状勢の中で、我々はどのように生きたら良いのでしょうか。
 今から約2500年前に、お釈迦様は一国の王子という地位の全てを捨てて、如何にしたら世間の人々の苦しみを和らげ、無くすことができるかを考えられました。そしてその方法が人それぞれに合うような教え方をされました。
 私たちの宗祖様であります法然上人は、やはり平安時代末期の戦乱の時代、追剥ぎ、強盗、殺人が蔓延る現代よりも治安の悪い時代にお生まれになり、お釈迦様のみ教えの全て、一切経の中から中国の善導大師の観無量寿経の解説書「観経疏」の中から「一心に専ら弥陀の名号を念じ、行住坐臥に時節の久遠を問わず、念々に捨てざる者是を正定の業と名づく。彼の仏の願に順ずるが故に。」の一文に出会い、浄土宗をお開きになられました。
 唯「南無阿弥陀仏」とお称えすること、お念仏は、当時の民衆に根付き、今日私たちも念仏しながら生活させていただいております。今一度、私たちの生活を振り向き、一人一人が相手や自分を知り、和やかに生活をすることが「仏教的生活」「念仏の生活」なのではないでしょうか。

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