浄土宗神奈川教区テレホン法話 第701話

 平成7年1月17日。犠牲者6,000人以上を出し、戦後最大の惨事となった阪神淡路大震災も今年でもう丸6年を迎えます。被災にあった地域では、7回忌の法要や合同慰霊祭が営まれ、犠牲にあった多くの方々の供養をされることと存じます。
 あの日から6年。一言ではいい表せない月日を重ねてこの忘れ得ぬ日を迎えるのは毎年つらいことと思います。特に住む家を失われ、仮設住宅での生活は不安を募らせることも多かったのではないでしょうか。
 ちょうど今から4年前、当地ではその仮設住宅での孤独死が何度と報道されて、その数が100人を越えたのには大変驚かされました。しかし、本当は仮設住宅には多くのボランティアの方々の力が影で支えており、それがなければ孤独死の数はもっと増えていたかも知れません。
 そのボランティアの方の中には、「仮設住宅を繰り返し訪ねて相手の話にじっと耳を傾け、次第に心がほぐれて身の上話が始まると、その人が癒されていくのが伝わってくるのがわかる。阪神淡路大震災のボランティアをそれ以来ずっと続けている。そういった積み重ねが大切だと思う。」と語る人が何人もいたそうです。
 いつもその心を痛めている人を大切にし、そのボランティアを受ける人と同化して同じように心の痛みを知る。
 仏教では慈悲という言葉がありますが、ボランティアの方々の気持ちは慈悲の心として「いつくしみ」と「かなしみ」を被災者の方と共感され、癒して下さったことと思います。
 み仏さまの、み心は慈悲の心であり、また、あらゆる生きとし生けるものに対して、全てに差別することなく働く心であり、広大な大慈悲の心であります。
 願わくば、その大慈悲の心をもって如来さまに仮設の家に1人で亡くなった方々を導いて下さるよう、願いをこめ心からご冥福をお祈りし、お念仏申し上げたく存じます。

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