浄土宗神奈川教区テレホン法話 第674話
 
 わたしたちは常に煩悩の中で生きていると言えます。一つの欲望を満たしても次々と新しい欲望が湧いて来ることを感じます。しかし、いつも欲望を満たして生きて行けるとは限りません。欲望に振り回される状態こそがこの世の地獄かもしれません。そんな時にこそ阿弥陀様に手を合わせて、お念仏を唱えることによって阿弥陀様の思いと一つになって煩悩を取り払っていただくことが大切かと思います。南無阿弥陀仏と唱えることによって何か願いをかなえてもらうことよりも、南無阿弥陀仏を唱えることによって心と身体に平安を得て、そこからまた新しい希望に向かって新たな人生の旅立ちが出来れば良いと思います。
 二十世紀もあと約八カ月余りとなりました。しかし、一日一日の積み重ねが二十一世紀に繋がって行くと思います。
 二十世紀の出来事をテレビ・新聞・歴史の本で見ると、この世の地獄が写し出されていると思います。いろんな歴史を見ながら人は、それぞれ歴史に対する思いは違っても過去から学んだことをこれからの人生に生かせればすばらしいことだと思います。
 まもなくやってくる二十一世紀は心の時代とも言われています。自己の欲望を満たすだけではなく、人の幸せな姿を見て、自分も心から喜び、たとえ宗教や文化・習慣が違ってもお互いに相手を尊重し、共に栄えて行くような時代が来ることを祈っています。
 
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