浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1178話

京浜組正蔵寺 専修 大志

「食欲の秋」と申しますが、実際に暑い夏が終わり涼しくなってきますと、食欲が増しついつい食べ過ぎて、体重の増加につながってしまったという方も多いようです。

このように「もっと欲しい」という心、「貪り」の心に負けてしまい、それによって苦しみが生じる、ということはよくあることだと思います。

ですから仏教では「少欲知足」、つまり「欲を少なくして、足ることを知る」ということを大事にします。「少欲」とは「いまだ得られていないものを欲しがらない」ということであり、「知足」とは「既に手に入れたものに満足し、心が穏やかであること」を表します。

しかし、この「少欲知足」を実践しようとなると、なかなか難しいものです。頭ではわかっていても、ついつい欲しくなってしまう。あるいは反対に欲しがってはいけない、という気持ちが強すぎてしまい、ストレスが溜まってしまった、ということもあるでしょう。

法然上人は御法語の中で、この「少欲知足」と同じ意味を表す言葉として、「喜足小欲」という言葉を用いられています。「足ることを喜んで、欲を小さくする」ということです。

この「少欲知足」と「喜足小欲」。意味は同じですが、「欲を少なくして、足ることを知る」ではなく、「足ることを喜び、欲を小さくする」と表現して下さったところに、法然上人の温かさを感じるのです。

先日、友人と旅行に行った際、友人が子どもへのお土産で悩んでいました。子どもの好みとは明らかに違う、と知りながらも、時間がなかったため急いで御当地のマスコット人形を買って行きました。そのお子さん、お土産を渡された瞬間に、満面の笑みで喜んでくれたそうです。その笑顔を見て、友人も本当に幸せな気持ちになったと話してくれました。

今を喜ぶ心があるからこそ、自分も周りも穏やかな心になれる。そして喜ぶことによって満足をしり、もとは大きかった欲望を小さくすることができる、そう思うのです。

喜足小欲を心がけ、日々お念仏をお称えする生活を送らせて頂く。そんな私達を見て、阿弥陀様もきっと喜んで下さると思うのです。

次回は11月の始めにお話がかわります。