浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1145話

京浜組 善養寺 古庄良如

五月が終わり、梅雨の六月に入りました。日本では雨の多い六月ですが、欧州では天気が良く、結婚式に向いている月だそうです。
 さて、その結婚式で、よく耳にする言葉があります。『死が ふたりを別つまで』。聞いた事、おありでしょうか?大変、ロマンチックな言葉ですよね。でも、私は この言葉より、更に素敵で あったかい御文を知っているんです。それは、法然上人が熱心な信者でもあった九条兼実公に残されたあるお歌の事です。『露の身は ここかしこにて 消えぬとも 心は同じ 花のうてなぞ』。私たちの身は 草木に落ちる露のように儚いものです。けれど、お念仏を信じているならば 私たちは必ず、阿弥陀さまのお浄土で再会する事が出来るのです。…このお歌は、そう詠っておられます。
 お念仏を信じる私たちにとって、この世での別れは 決して永遠のものではありません。お浄土がある以上、臨終での別れは「さよなら」ではなく、「また会いましょう」「行ってらっしゃい」というお見送りなのです。
 お念仏を心から唱えた全ての人は 必ず、阿弥陀さまにお救い頂けます。それは、至らぬ私たちにとって、本当に有り難く そしてあたたかい御教えなのです。
 お念仏と仏様のご縁によって結ばれた私たちはたとえ 死を以ってしても別つ事は出来ません。わが身と、先立たれた方と、どちらも導き救って下さる、尊いお念仏です。どうか、そのご縁を大切に育んで頂いて、日々 お手合わせいただければと思います。 
 

次回は6月の中ごろに お話が変わります。