浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1129話

暑くて長い夏がやっと終わりましたが、秋はあっという間に過ぎ去ってしまい時節は師走を迎えました。私たちは毎日何かに追いまわされています。忙しいという字は心を亡くすと書きます。そしてさらに何か大切なものを忘れているのでは ないでしょうか。忘れるという字も心を亡くすと書きます。

先月、ご主人の一周忌のご法事でお参りにこられたご夫人が、玄関に書かれてある「脚下照顧」の立て札を見て、「履きものを揃えましょう」という意味かと尋ねられました。今まで気付かなかった玄関の立て札に気付いたようです。 それでよいのですが、照顧とは『阿弥陀様の智慧の光で自分自身を照らして見なさい。』ということですよ。 と付け加えました。

「仏の智慧の光で自分を照らす」というと理解しづらいようですが、忙しい、忙しいと言い続けて今日までお暮らしの方、ふと庭に目をやると夏の色とりどりの花はとうに終わり、秋の草花も時期を過ぎて、もう冬の寒さに備える作業をしていることに気付くでしょう。庭の変わり様に気付いたことがまさに「脚下照顧」となったのでしょう。

12月8日は釈尊成道の日です。ブッダガヤの菩提樹の下で坐禅を続けられた釈尊が悟りを開かれた日です。
私たちの目は外の世界を見るようになっていますが、その目を自分の内側に向けてみることも大切です。師走の時節、ゆったりと立ち止まって亡くしそうな心を見つめていきましょう。

次回は、12月11日にお話が変わります。