浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1102話

こんにちは。3月になりました。東日本大震災から一年を迎え、犠牲になった方々の一周忌法要が日本のみならず世界中で営まれます。「どうかあの世で安らかにお過ごしください」という亡き人に対する気持ちは、国や宗教の隔てなく、万人が共有する素直な気持ちです。大切な人をなくす悲しみ、多くの命が失われることの悲しみは、言葉が通じなくても伝わるのだと思います。だからこそ世界中の人は、思いが届くことを信じて、亡くなった約2万人の方のご冥福を海の向こうで一緒に祈ってくれるのです。
お祈りはそれぞれの信仰や文化に乗っ取ったもので、この度の震災一周忌の追悼のかたちもお国によって様々でしょう。残念ながら私はキリスト教もイスラム教もよく知りませんし、きっとそれぞれが優劣なく素晴らしい教えだろうと思うだけで、詳しい知識も何もございません。正直申しますと、同じ仏教でも他の宗派の教えとなると、私なぞはせいぜいかじる程度の勉強しかしておりません。宗教者としてまったく恥ずかしい限りです。
でもありがたいことにこんな無能な私でも、「南無阿弥陀仏」と心を込めてお称えすることで、一周忌を迎える震災犠牲者のご供養をさせていただけるのです。手を合わせ、亡くなった2万人近い方々の御霊のご冥福を阿弥陀様にお願いすることは、いま私が出来る唯一のご供養です。
あなたもわたしも人としてこの世に生まれて、お釈迦様のありがたい教えに出会い、またお念仏によって阿弥陀様とのご縁を頂戴しております。こうしてお電話いただいたことも、これまたありがたいご縁でございます。どうかご一緒に今一度、「南無阿弥陀仏」と十遍お称えして、一周忌の追善の誠を、お亡くなりになった多くの方々に捧げたいと思います。東日本大震災物故者諸精霊位追善増進菩提 同称十念

次回は3月11日にお話がかわります。