浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1084話

港南組 正覚寺 石川覚順

法然上人がまるで遺言のように残されたお詞、一枚起請文があります。
「尼入道の無知の輩に同じうして、知者のふるまいをせずして、ただ一向に念仏すべし」 もちろん念仏とは口称念仏です。心の中でするのではなく、ナムアミダブと声に出して 称えるのです。何よりこのお詞は、上人が亡くなられる二日前のもので、努々おろそかに はできません。さらにこれは、尼さんや入門者と同じように実直素直に行ないなさい と言うのです。「知恵者のふるまいをせず、私は教えられた口称念仏だけします」と、 ただ一向に、ひたすらにナムアミダブと称えるべきだと、上人は仰せられているのです。
浄士宗で言う念仏はロ称念仏であるのと同時に、選択本願念仏とも言います。八万四千の 法門という数多くの教えの中から、私たちは念仏の教えを選びとらせて頂きました。
この選びとったお念仏は、阿弥陀様が本願として、正しく私たちにお与え下された修行法 でもあるのです。数ある往生の為の修行法の中からお念仏という方法を選びぬかれて阿弥 陀様が私たちにお示し下されたものなのです。
このような阿弥陀様から頂いたお念仏でありますから、お念仏を称えることで数々の功徳 も頂けます。それらの中で、阿弥陀様との間に結はれる三つのご縁があります。これを 「三縁」といいます。親縁・近縁・増上縁です。阿弥陀様と私たちとが相親しい間柄にな れ、遠く離れず相近しい間柄になれ、阿弥陀様が私たちを様々にお護り下さるご縁です。
阿弥陀様は極楽から、常に念仏する者を探しておられます。そしてその私たちの声を聞き 漏らすことなく、同時に念仏する人を光明で包み込んで下さいます。阿弥陀様から頂ける このご縁を大切にし、たくさんお念仏して、ご縁を大きく育て上げましょう。

次回は9月11日にお話が変わります。