浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1069話

このたびの東北関東地方を襲った地震、それにともなう大津波により被災されました皆様にはこころよりお見舞い申し上げます。あまりにも大きな地震そして想像すらできない大津波に私どもはただどうすることもできず、うろたえるだけでありました。また、原発事故により余震だけでなく放射能による健康被害に日々不安をかかえている状態であります。いくつもの不安や苦しみが重なり、希望の光すら見えない思いで毎日お過ごしかもしれません。
今年は法然上人八百年遠忌の年で、本来であれば、この四月は各総本山で法要がお勤めされる予定でございましたが、これも延期となり残念であります。
ただ、この法然上人八百年で受けとらせていただく大切なことに改めて気づかされる思いです。考えてみれば、いつの時代においても天災地変は絶えず、法然上人のご存命の時でも地震災害はすさまじいものでした。平安期のある記録を見ますと、毎日のように、地震、地震、地震、とたて続けにその様子が記され、人々が命を失う記事もみえます。世の無常に私どもはただ無力であります。
だからこそ、法然上人は必ず救われる教えとして、お念仏のみ教えを説かれたのです。私どもは何一つできない弱い存在なのです。思い上がっていると、そのことには気づけません。阿弥陀さまは、このどうすることもできない私を救うとおっしゃいます。今私どもは、この現状の中で皆が支えあって、励ましあって進むしかありません。ただ、くしくもいざという場面に直面した時、あなたを救いますという阿弥陀さまの声がどれほど心強く頼もしいものでありましょうか。念仏ですぞと説かれた法然上人のみ心はここにあります。法然上人のただ一向に念仏すべしとのお言葉が、八百年の歴史を越えて、聞こえて参ります。いつでもどこでも、どんな状況にあってもお念仏です。