浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1063話

日本記念日協会によると、2月2日は「おんぶの日」となっています。従来のものよりも楽に子どもをおんぶできるひもを製作した横浜市在住の母親が制定したもので、2月の2は、おんぶしている親をあらわし、2日の2は、おんぶされている子の姿に見たてているとともに、親も子もニコニコと笑顔でとの願いも込められているとのことです。
なるほど我が子を見てみても、母親におんぶされている時の表情は、親にすべてを託し、無垢で安らかなものとなっており、周囲も自然と笑顔になります。また私自身、子どもの頃に両親におんぶしてもらったり、抱きしめてもらったりした時の温もり、安心感は、大切な思い出となっています。
しかし、当然ながら人はいつまでも親におんぶされているわけにはいかず、いつの間にか親の背中を離れ、おんぶをしてもらっていた時の、何の疑いもなく素直であった気持ちも忘れてしまうことがあります。そして、いろいろな問題、悩み、苦しみに直面し、日々心を迷わせるようになります。こうした私たちを、阿弥陀様はいつでもどこでも、お慈悲の光で温かく照らして見守って下さっています。
阿弥陀様と、お念仏をおとなえする私たちとの関係を、親子の縁と書きまして「親縁」とも言いますが、阿弥陀様は、私たちのことをまさに我が子のごとくに案じてくださっています。うれしい時も悲しい時も常に私たちに寄り添い、励ましてくださっています。この尊い親心に気づき、阿弥陀様を素直に信じてお念仏をおとなえすることにより、阿弥陀様の温もりを感じることができるのです。さしずめ、お念仏が阿弥陀様と私たちとをしっかりとつなぎ止めてくれる「おんぶひも」ということになりましょうか。
日々お念仏をおとなえし、阿弥陀様に心をぴったりと寄せ、温もりを感じながら、ニコニコと笑顔で毎日を過ごしたいものです。

次回は、2月11日にお話しがかわります。