浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1015話

港南組 正應寺 石川 基樹

浄土宗神奈川教区テレホン法話第1015話、今回は縁のお話をしようと思います。私たちはさまざまな関係によって支えられています。目に見える直接的な関係から目に見えない間接的な関係までさまざまです。因縁といいますが、間接的な関係のことを縁といいます。ここで、私たちが今なぜ社会の中で生活することができるのかということを考えてみます。私たち人間はあらゆる動物の中でもっとも無力な状態で生まれてくるといわれています。生まれた子どもは少なくとも数カ月の間、家族や周りの人の助けを得ることなしに生きていくことができません。加えて無力な私たちが今のように社会で生活できるのは、長い期間、家族や学校などで言葉や社会の仕組みを学ぶことができたからです。私たちを支えている家族や学校なども、それを支える様々な人によって成り立っています。これほど多くの縁によって私たちは支えられているのです。このように人と人との縁は私たちが生きていく上でなくてはならない非常に大切なものです。しかし考えてみると、何十億と生きる人間の中で親子の繋がり、夫婦の繋がり、友人の繋がりがあることは本当に稀有なことではないでしょうか。さらにそもそも自分がこの世に生を受けること自体困難なことです。ここには私たちの想定を超えた大きな力が働いているように感じられます。この大きな力を浄土宗では阿弥陀様と受け止めます。ここに阿弥陀様と私たちの関係、つまりもう一つの縁があるのです。私たちは人間の計らいを超えた阿弥陀様との縁によって、多くの人が生きるこの世界で家族や友人との関係を築きながら生き生かされているのです。このことに感謝申し上げ、お念仏をお称えし、日々の生活を送りたいものです。次回は、10月11日にお話が変わります。